Taro 里芋(サトイモ)
イモ類の中で特に低カロリー。独特のぬめりも美味しさ。
里芋はマレー半島付近の熱帯地域が原産で、日本には稲作が始まる前、縄文時代に伝わったとされます。山で採れる芋を「山芋」、里で栽培される芋のことを「里芋」と呼ぶようになったのが名前の由来です。里芋は親芋を囲むように小芋、孫芋、ひ孫芋が育つので、豊作や子孫繁栄の象徴としてお正月料理に欠かせない食材です。江戸時代にサツマイモ、ジャガイモが日本に伝わるまで、「芋」といえば里芋のことを指していました。そのため、江戸時代の中秋の名月には、感謝と豊作を願い里芋をお供えしていました。中秋の名月が「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれる所以です。
-
選び方
- 泥付きのものは、表面の湿り具合をチェック(ほんのりしっとりしている位がよい)
- 皮に傷やひび割れがなく、かたく締まっているもの
-
栄養
糖質が主成分のイモ類の中で、水分が多い里芋は特に低カロリーです。また、ナトリウム(塩分)を排出して血圧の上昇を抑える働きのあるカリウムが豊富なため、むくみを解消し、高血圧を防ぐ効果が期待されています。里芋の特徴である「ぬめり」は粘膜を保護し、胃腸の働きを助ける働きがあります。
里芋(サトイモ)のおすすめ品種Pick Up
-
土垂(どたれ)
土垂は小ぶりな子芋を食べる品種で、主に関東地方で栽培されています。里芋を指す場合、この「土垂」を指すことが多いです。貯蔵性が高いため、1年を通じて市場に出回っています。肉質はやわらかく、ねっとりとしていて煮崩れしにくいのが特徴です。「煮っころがし」におすすめです。
-
セレベス
セレベスは、インドネシアのセレベス島(現スラウェシ島)が原産の里芋です。表面が赤みがかっているので、「赤目大吉」や「赤目芋」などと呼ばれることがあります。肉質は粉質でしっかりとしているため、煮崩れしにくく、ホクホクとした食感で煮物などに向いています。里芋特有のぬめりが少ないことも、セレベスの特徴です。収穫時期が遅い品種で、11月から12月が旬になります。
-
石川早生(いしかわわせ)
早生(わせ)なので育ちが早く、孫芋が大きくなる前の早い時期(主に7~8月)に収獲をします。石川県原産の里芋ではなく、大阪の南河内郡 旧石川村(河南町)地名から付けられました。肉質は柔らかく粘りがあり、蒸した時に皮離れが良いため、皮ごと蒸して食べる衣被(ぬかつぎ)でよく食べられます。「土垂」は主に関東地方で、「石川早生」は関西地方や九州でよく食べられています。
-
海老芋
旬は11月から2月頃、冬を代表する京野菜の「海老芋」は、その名の通り海老のような形と皮の模様が特徴の里芋です。「京芋(きょういも)」と呼ばれることもあります。肉質のキメが細かく、ねっとりとして粘り強いため、煮崩れを起こしにくい里芋です。煮物やおでんなどに最適ですが、コロッケにしても美味しいです。
-
八ツ頭(やつがしら)
八ツ頭は、親芋と子芋が分かれず塊になり、頭が八つくっついているように見えることから名前が付いたといわれています。一般的な里芋と比較して、粘り気は少なめで甘味があり、ホクホクとした食感です。旬の時期は11月~1月です。
-
京芋(たけのこ芋)
京芋は、長さ20~50cmほどの円筒形をしていて、見た目がタケノコに似ているので「たけのこ芋(筍芋)」とも呼ばれています。主産地は宮崎県ですが、「京都の美味しい料理にあやかりたい」ということで「京芋」と名付けられました。ぬめりが少なく、煮崩れしにくくホクホクとした食感でおでんや煮物、天ぷらや炊き込みごはんにも合います。旬は9月~10月です。
-
八幡芋(やはたいも)
八幡芋(やはたいも)は、山梨県甲斐市(旧竜王町)八幡地区を中心に江戸時代から栽培されている里芋です。生産量が限られているため、希少な里芋です。肉質は白くてきめ細かくなめらかで、粘りが強いです。山梨の「ほうとう」には欠かせない食材です。旬は9月~12月です。
-
帛乙女(きぬおとめ)
帛乙女は、白くきめ細かな肉質の里芋です。新潟県五泉市の絹織物「帛」になぞらえた名前です。独特のぬめりがあり、なめらかな食感で煮崩れしにくいため、新潟の郷土料理「のっぺ汁」には欠かせない食材です。平成、令和、天皇陛下御即位に伴う大嘗祭の献上品として2度選ばれている里芋です。
-
甚五右ヱ門芋(じんごえもんいも)
甚五右ヱ門芋は山形県真室川町の佐藤家に、室町時代から400年代々受け継がれてきた一子相伝で伝わる幻の里芋です。一般的な里芋よりも子芋、孫芋が細長くなり、ぬめりが強くとても柔らかいのが特徴です。山形名物芋煮はもちろん、衣かつぎで食べると甚五右ヱ門芋のおいしさをダイレクトで感じることが出来ます。
-
田芋(水芋)
田芋(タイモ)は水を張った畑(水田)で栽培される沖縄の里芋の一種で、「ターンム」と呼ばれ祝い事に欠かせない県民食材です。加熱すると一般的な里芋より粘り気があり、蒸した田芋をマッシュし、だし汁を加え練り上げる「ドゥルワカシー」は有名です。皮付きのまま素揚げにしても美味しいです。
-
はすいも
はすいもは里芋の仲間ですが、茎の部分のみを食べます。(一般的な里芋のように根が大きくなりません)シャキシャキとした食感が特徴です。高知県では「りゅうきゅう」と呼ばれます (はすいもは沖縄県から伝わったため) 。ズイキは里芋を食べる為に育てられていますが、はすいもは茎を食べる為に育てられています。きんぴらや酢の物、天ぷらにして食べます。
里芋(サトイモ)Q&AQuestion
- 切ったら中に赤い斑点があったり、外側が赤くなっているのは腐っている?
- 結論から言うと、それは食べても大丈夫です。ただし、味が落ちていることもあるため、早めに食べましょう。赤くなっている理由は、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが酸化したため変色したものです。赤色ではなく、緑に変色している場合もありますが、これも食べても大丈夫です。原因は芋が日光に当たり緑色になったためです。ただし、ジャガイモの緑色の部分は食べてはいけません。
- 食べるとガリガリとした食感がした
- 里芋の中にはねっとりとした食感ではなく、ガリガリとしたものが稀にあります。これは「水晶症」と呼ばれる生理障害で、品種によっては子芋が成長する過程で、孫芋にデンプンを取られてしまうため起こります。見た目で判別できるため、ほとんどの場合は生産者が取り除いています。
里芋(サトイモ)の豆知識Knowledge
- 手が痒くなりにくい方法
里芋には山芋と同じシュウ酸カルシウムが含まれているため、手が痒くなりますが、シュウ酸カルシウムは熱や酢に弱いので、酢に手をつけると痒くなりにくいです。 - むきやすい方法
里芋のぬめりは、塩をふって余分なぬめりを洗い流すと取れます。また、里芋を洗った後、水気を拭きとるとむきやすくなります。また、上下を切り落としてから縦にむくときれいにむけます。 - 保存方法
泥つきのまま新聞紙にくるみ、乾燥させないように常温で保存します。泥なしのものはビニール袋に入れて、キッチンペーパーで包んでポリ袋に入れ、野菜室で保存します。