梨 千葉県 横芝光町
大きく、シャリっとみずみずしい梨。
九十九里浜に面し、年間を通して温暖な気候の横芝光町に、35種類以上の梨を栽培している梨園があります。
車で走っていても梨園らしき農園は見当たらず、遠くから見ると小さな山のようになっている場所があります。
「梨工房 城山みのり園」さんの農園はこの小さな山、坂田城跡がある高台にあるのです。梨園は当時お城に仕えていた人々が暮らしていた場所で、戦に備え山を削った見晴らしの良い場所です。
こまめな世話でおいしく育つ梨
広い園内には梨がたわわに実っていました。間隔が一定で高さも均一に並んだ梨の樹は「日本一きれいな梨園」とも言われています。園主 實川勝之(じつかわ・かつゆき)さんは元パティシエという経験を活かして、梨園をケーキ屋のショーケースに例え、農園内は細部まできれいに手入れがされています。樹の間隔を一定にすることで、太陽光がどの樹にも当たるので甘くなり、水分や栄養も均一に届き、風通しが良くなるので菌や虫がつきにくい上、高台にあるため水はけがよく、余分な水分が流れることで栄養をたくさん吸収する梨に育ちます。
梨の栽培
梨は、収穫後にたっぷりの肥料を樹に施します。花が咲き、実を収穫した後、1年間働いた樹に対して、花や実を付けてくれたことにお礼の意味を込めて肥料をあげることから「お礼肥え」などと言われたりもします。また、混み過ぎている部分の枝を間引いて、若い枝が伸びるようにする「枝抜き(間引き剪定)」、落ち葉を圃場に抄きこみ栄養にします。それらの作業が終わるころに、ようやく樹はゆっくりと冬の休みに入ります。
春、暖かく芽吹くころに、上に伸びた徒長枝や横に伸びた側枝を整えます。その後、花が咲くと1つ1つ手作業で交配します。その数は何万個という数です。5月頃、実をつけ始めたころには、等間隔で実を大きくするための「摘果」を行い、その後も実の成長具合を確認しながら、摘果作業は収穫まで続きます。
樹の間隔を一定にしたり、枝や葉が綺麗に揃えることで、個々の梨の味に差が出ることを少なくするようにしていますが、35品種以上もの梨を栽培しているため、品種に応じた手入れや栽培方法があります。梨の旬はとても短く約2週間と言われています。多くの品種を育てることで、品種別の収穫時期を計算し、3か月もの間、常に旬の品種の梨を食べることが出来るように育てられています。
出荷
外部からのホコリや異物等の混入を防ぐため選果室を設置し、目視で1玉ずつ色合いや傷の有無などを確認します。選果機で大きさや形を選別し、清潔な環境で選果・箱詰めを行っています。
バイヤー山中のおすすめ品種
「かおり」
収穫時期が短いため幻の梨と言われ、要チェックです。果実はとても大きく、大きいもので1kgを超えます。梨の香りとは思えない、独特の甘く爽やかな香りが特徴です。甘く、ジューシーで、皮がツルっとしていて食べやすく、皮ごと輪切りにして食べるのがおすすめです。(皮に近い部分は特に甘いです)
「秋満月(あきみつき)」
12年の歳月をかけ千葉県で20年ぶりに新しく生まれた品種です。大きさは幸水、豊水の倍以上の大玉品種で、果肉は柔らかく、きめ細やかでなめらかな食感、平均糖度が13度超えの甘みが強く濃厚な味で、とてもジューシーです。